こうした人間の性質がある以上、「効果分析表」は、客観的な視点で、「よりよいもの」を明確にするツールとして非常に有効です。

「5W1H表」と「効果分析表」は
お互いを補い合う存在となる

 ここで紹介した2種類の表は、それぞれ作ることで効果を発揮しますが、交互に、あるいは繰り返して使うことで、より企画の精度を高めたり聞き手に届くプレゼンの準備につなげたりすることができます。

 それは、「5W1H表」と「効果分析表」には、お互いに補い合う性質があるからです。

図表:「5W1H表」と「効果分析表」の役割同書より 拡大画像表示

「5W1H表」は、与えられた情報を整理したり1つの事柄を深く思考したり、あるいは全体像を捉え相手に伝えたり立場の違う人と議論する際に真価を発揮します。

 一方で「効果分析表」は複数の事柄を比較したり視点を変えて検討したり、あるいはその選択肢やアイデアの優れた点・劣っている点を可視化する効果があります。

 そのため、例えば今回のように上司に指示されて新商品の体験イベント企画を考える場合には、

(1)「5W1H表」で、情報を整理する。

(2)足りない情報を収集して、「5W1H表」に追記する。

(3)それでも埋まらない箇所については、それぞれ「効果分析表」を作り、アイデアを比較検討する。

(4)(3)で検討したよりよいアイデアを「5W1H表」に追記する。

(5)(2)~(4)を繰り返して、案を完成させる。

 という形で「5W1H表」と「効果分析表」を繰り返し、あるいは交互に使うことで、あなたの思考は深まり、多様な視点を踏まえた優れた企画ができあがっていくでしょう。

書影『仕事は1枚の表にまとめなさい』(日経BP)『仕事は1枚の表にまとめなさい』(日経BP)
池田昌人 著

 さらに、

(6)新しい5W1H表を用意して、(1)~(5)の要領で別案を(1つ、あるいは複数)作る。

(7)考えたすべての企画を「効果分析表」で比較検討する。

(8)(7)を踏まえ、「5W1H表」で「よりよいアイデア」をブラッシュアップする。

(9)(6)~(8)を繰り返し、よりよい企画に仕上げていく。

 とすると、様々な要素を考慮した「本当によりよい企画」の提案につながるでしょう。