特にビジネスの文脈では、「いつ、どこで、誰が、何を、どうして、どんなふうにする」という順番に物事が決まっていくことはあまりありません。

「何のために(どうして)、何をやるのか」があって初めて、「いつ、どこで、誰が、どんなふうに」が決まっていくことが多いと思います。

 これは、具体例で考えればわかるでしょう。特に目的も概要も何も示されず、「1カ月後(=いつ)、何かやるから考えて」などと言われることはないはずです。

 たとえこんなふうに言われることがあったとしても、たいていは「日頃からその旬の食品のマーケティング施策を打っている部署で働いている」など、そもそも目的や概要が暗黙の了解としてある場合のみです。それでも、表を作る際には、暗黙の了解事項も改めて言語化したほうがいいですが。

「効果分析表」を作成して
より良いアイディアを検討

「何か達成したい目的」があり、そのために「何をするか(概要)」を考える。さらにそこから、関係者や場所、時期、詳細が決まっていく。この「仕事における思考の順序」に合わせて、ここでは表をカスタマイズしておきましょう。

 また、5W1Hの各項目の意味のとり方も、ビジネスでより使いやすいように変更しておきます。

図表:池田ゼミ式5W1H同書より 拡大画像表示

 2つめは、「効果分析表」と呼んでいる表です。効果分析表の主な役割はよりよい案を選ぶための、対案の比較検討です。

 例えば「Where:場所」は「A会議室がいいか、それともB会議室がいいか」など、5W1H表に書き入れるに当たって検討が必要になる場合があります。その際に、より目的に合う選択肢をフェアな視点で選ぶために効果分析表を用います。

 あるいは、5W1H表が2枚あるとき、つまり「2案のどちらを選ぶとよりよいか」など、アイデアそのものを比較検討する際にも、効果分析表は役に立ちます。

 通常、ビジネスで何かを考える場合には、たった1案だけ考えて、最初に思いついた1案をとにかく推し進めるということはありません。いくつか、場合によっては何十も案を考えて、その中からよりよいものを選んでいくはずです。