金利で明暗! 銀行絶望格差 #4Photo:ridvan_celik/gettyimages

銀行業界は、金利上昇の恩恵を最も受けるといわれる。そこで、特集『金利で明暗! 銀行絶望格差』(全16回)の#4では、二つの金利上昇ケースを想定し、メガバンクと大手地方銀行の純利益に与える影響を実名試算した。その結果、金利上昇が追い風になる銀行と、影響が限定的な銀行が明らかになった。また、17年前の金利上昇時と今の金融環境を比較すると、銀行は金利上昇の追い風に乗れない可能性があることも分かった。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)

金利が上がると純利益は何パーセント上がる?
3メガ、大手行、上位地銀で実名試算!

 2024年は、金利のある世界への転換点となる年だ。マイナス金利の解除に、ゼロ金利の解除。短期金利がゼロ近辺に張り付いた状態からの脱却が見えてきた。

 金利上昇が各業界に与える影響はさまざまだ。その中で追い風になるといわれる筆頭が、銀行業界である。

 銀行業は、貸出金利と預金金利の差である「利ざや」で収益を稼ぐモデルが基本だ。これまで極端に低く抑えられてきた貸出金利が上がれば、同時に利ざやも拡大し、国内の銀行はようやく“通常モード”に回帰する。

 ただし金利上昇の影響度は、各行の貸出先の特徴によって異なる。また国債の含み損拡大や預金金利の上昇など、マイナスの影響も見逃せない。

 では金利上昇のメリットは、どの銀行が享受しやすいのか。次ページでは、金利上昇がメガバンクや大手地方銀行の純利益に何パーセントの影響を与えるのか、ゴールドマン・サックス証券の試算を基に実名で公開する。

 さらに利上げが経済全体に与える影響や、2006~07年の金利上昇局面との違いを比較すると、銀行が利上げの恩恵にあずかれない要因も多いことが分かった。

 金利のある世界は、その恩恵を享受しやすい銀行とそうではない銀行の間に格差をもたらす。専門家への取材を基に、そのカラクリを次ページで解き明かす。

銀行が「金利上昇の年」でも決して安心はできない理由、メガバンク&大手地銀への利益影響を実名試算!