「金利ある世界」の設備投資の今後
24年度計画は前年実績より3.4%増加
2023年の設備投資は99.8兆円と1991年以来32年ぶりの高水準を記録した。物価変動の影響を除いた実質ベースでも前年から2.1%の増加と堅調な伸びとなった。
だが日本銀行が金融政策の正常化に踏み出し、「金利がある世界」に戻るなかで影響はないのか。
直近の日銀短観によると、24年度の企業による設備投資計画額は前年実績に比べて3.3%増と高い伸びとなった。人手不足の深刻化や脱炭素、デジタルなどへの企業の投資意欲は強そうだ。さらに企業がかつてに比べて借り入れを減らしキャッシュフローを増やしていることや、ソフトウエアや研究開発など無形資産への投資を増やしていることが、金利上昇の影響を減らしている。
筆者らの試算では、借入金利が1%上昇した場合、設備投資(全業種)の減少額は1980~99年の▲3.6%から2000~19年は▲1.7%と金利上昇の「打撃度」は弱まっている。
だが不動産業などの「4業種」は別だ。さらに景気全体や金融機関経営にも影響が波及しかねないことに注意が必要だ。