総予測2024#38Photo by Yasuo Katatae

金利復活が近づき、本業である融資による収益力アップに期待感が高まる銀行業界。この金利復活が銀行の優勝劣敗を鮮明化させる。特集『総予測2024』の本稿では、銀行業界で優劣がはっきりと分かれていく様に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

YCC柔軟化がもたらす
メガ“空前”の好業績

 銀行は今、えも言われぬ高揚感に包まれている。2023年7月と10月に日本銀行はYCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)を柔軟化。それを受けて、YCCは24年前半には撤廃、さらにマイナス金利解除により「金利が付く世界」が戻ってくることが、金融業界で現実味を帯びてきたからだ。10年物国債の金利は一時1%に迫るまで上昇した。

 金利上昇は、銀行の業績に追い風となる。実際、メガバンクの足元の業績は絶好調だ。

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)を例に挙げると、23年度中間期の業務純益は1兆0857億円となり、同社発足以来最高益を更新。純利益は9272億円で、中間期の時点で通期目標の71%を達成してしまった。

これほどまでにメガバンクの業績が急回復した要因は何なのか。次ページでは、この要因を明らかにするとともに、全く事情が異なる地方銀行の24年の事業環境を見通す。