2024年は本格的な金利上昇への転換点の年だ。とはいえ、20年以上低金利が続いた日本では「金利のある世界」が想像しにくいのではないだろうか。特集『総予測2024』の本稿では、来る「金利のある世界」が企業や私たちの生活にどのような影響を与えるのか、試算を基にした豊富なグラフ付きの大図解で解説しよう。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
2024年は金利上昇への転換点
負担が重くなるのは30~40代?
「インフレを知らない世代」――。物価研究の泰斗である渡辺努・東京大学教授は、実質的にインフレ(物価上昇)の経験がない40歳未満の世代をそう呼んだ。
そんな日本にも、2022年の春ごろから本格的な物価上昇が訪れた。この2年で初めてインフレを“実感”した人も多いはず。
ただし、われわれが長らく経験していないもう一つの経済現象がある。「金利のある世界」だ。
日本では1999年にゼロ金利政策が導入され、超低金利の時代が20年以上続いた。その結果、日本人は定期預金に見切りを付け、“たんす預金”を積み上げてきた。「金利のない世界」の象徴だ。
そして、23年の終盤に来てようやく、日本の金利が新たな局面を迎えようとしている。23年10月31日、日本銀行は長期金利の許容する変動幅の上限である1%を厳格な「上限」から「めど」に変更した。要は、金利をもっと上げることを許容したのだ。
その翌日、三菱UFJ銀行は10年物の定期預金の金利を“100倍”である0.2%に引き上げることを公表した。他の銀行も定期預金の金利を引き上げている。
では、金利のある世界が到来すると、私たちの生活はどう変わるのだろうか。実は、年収500万円台の中間所得層や、住宅ローンを多く抱える30~40代の世帯にとって、金利上昇は負担が重くなることが金利上昇の試算で分かった。次ページから、その詳細について知識ゼロから簡単理解できる大図解を基にお届けしよう。