マイホームを購入、固定金利で35年ローンを組んだ

 先日、家計相談に来られたDさん(44)は、住宅ローン返済中に病気になり、今後について不安を感じています。

 Dさんの会社は収入も福利厚生も安定している大手企業。健康で働き続け、コツコツと貯金してきました。貯金を頭金にして、5年ほど前に、パート勤めの妻(42)、長男(8)、次男(6)と楽しく幸せに暮らしていくために、マイホームを購入しました。

 頭金800万円、住宅ローン3500万円を利用して、4300万円の物件を購入。頭金で貯蓄がかなり減ってしまったので、毎月の家計からしっかりと貯金していく計画で、ボーナス払いを多めに設定して、ローンを組みました。1.55%の固定金利の35年ローンで、毎月の返済額は約7万7000円。ボーナスが出る月は約18万5000円が加算される設定です。

 当初は賃貸住宅の家賃よりも安いので毎月の生活費が楽になり、ボーナスも半分以上残せていたので、とてもうまくローンを利用したと思っていました。

うつ病になり、5カ月以上休むことに……

 しかし、マイホーム購入から4年後、状況が一変。Dさんが「うつ病」の診断を受けてしまったのです。治療と休養が必要なので、まずはDさんの会社では給与支給対象となっている「病気休暇」を使い、その後は貯まっていた「有休」を消化しながら休養することになりました。合わせると、5カ月ほど給与をもらいながら休めることとなり、この点は不幸中の幸いでした。

 かなりの好条件での休養期間となりましたが、休養中は残業代等が支給されないため、収入が減少。それでも何とかやりくりして、貯金はできないまでも住宅ローンの返済は滞りなく続けていました。

 ただ、このギリギリの暮らし方に将来への不安を感じたDさんは、有給の休みの終了が近付いてくると、しきりに「復職」を検討し始めました。詳しく話を聞くと、将来も不安なようですが、目前の「ボーナス返済」を気にして、復職したいと思ったようなのです。

 有給での休みが終わり休職期間に入ると、ボーナス支給対象となる条件を満たせなくなります。そうなると、家計はますます苦しくなる、それならば自分ががんばって仕事に戻ればすべてが解決する、と考えたのです。

 しかし、Dさんの病状はまだ復職が可能なほどに回復していませんでした。医者からは「治療を続けながらしっかり休養したら、また仕事を続けることも可能になるだろう」と言われているのに、無理をするとさらに病状が悪化してしまうのではないかと心配です。