脳は予測を作り出す装置
VUCA時代にどう生きるか

 現代は、先の読めない不確実な時代という意味でVUCA時代と呼ばれています。

 VUCA時代とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉で、現代社会が抱える複雑で不確実な状況を表しています。

 現代社会は、グローバル化、テクノロジーの急速な進展、環境問題、政治的・経済的な不安定要素など、さまざまな要因によってVUCAの特徴が強まっています。

 企業や組織は、これらの変化に対応するために、従来の戦略や経営手法だけではなく、こうした環境下でのリーダーシップや意思決定、柔軟な思考や革新的なアプローチが求められるようになっています。

 VUCA時代においては、急速なテクノロジーの進化やグローバル化、政治や経済の不安定さなどが相互に影響し合い、未来を予測することが困難になっています。

 そのため、個々人も従来の知識やスキルに固執せず、新しい状況に対応できる、柔軟で創造的な対応力を持つことが重要です。

 VUCA時代に必要とされるスキルは、以下のようなものと言われています。

1 柔軟性:変化に適応し、新しい状況や課題に対応できる能力。
2 創造性:新たなアイディアや解決策を生み出す能力。
3 視野の広さ:異なる分野や文化からの知識やアイディアを取り入れ、総合的な視点で問題を捉える能力。
4 コミュニケーション力:他者と効果的にコミュニケーションし、共同で問題解決を行う能力。
5 クリティカルシンキング:情報を分析し、論理的かつ独立した判断を下す能力。
6 自己学習能力:自ら学ぶ意欲を持ち、新しい知識やスキルを継続的に習得する能力。
7 リーダーシップ:チームや組織を導き、目標達成に向けて協力を促す能力。
8 感情知性:自分自身や他者の感情を理解し、適切に対応する能力。

 これらのスキルは、数値で表すことができない能力として、まとめて「非認知能力」や「社会情動的スキル」などと呼ばれて話題を呼びました。

 このような時代に、物事に粘り強く取り組み挫けない脳の働きのことを、「脳の持久力」と名づけることにします。

 AIによる物体認識や自動運転技術の発展と相まって、最近の神経科学では、脳がもっている予測の能力がにわかに注目を集めています。

 脳とは、予測を作り出す装置だとさえ言われています。これまで脳は単に、入力に対して適切な応答を返すだけのブラックボックスだと思われていました。しかし、それ以上に複雑な挙動をしていることがわかってきたのです。