酔っ払ったB主任がAに絡んで「お説教」

 宴会開始から1時間が過ぎた頃、ベロンベロンに酔っぱらったB主任は、よろけながらAの真向いの席に座った。

「どうしたの?ずいぶん暗い顔してるじゃーん。楽しんでる?」

 普段のはつらつとして面倒見のいいB主任とは全く違う姿を見たAは驚いた。B主任はおかまいなく、

「Aってさ、今付き合っている彼女いるの?」

 とたずねた。Aはしばらく黙っていたがしつこく聞いてくるので、

「いえ、いません」

 と小声で答えた。

「じゃあ、女性と付き合ったことはある?」

 今まで彼女がいなかったAは言葉を失った。それでもB主任は「どんなタイプの女性が好き?」「部署の女性社員の中でどの人がタイプ?」などと、仕事に関係のない質問を次々と浴びせかけ、Aが答えられずに下を向くと、「早く答えてよ」としつこく迫った。その様子を見ていたCが、

「B主任、ちょっとしつこすぎじゃないですか?」

 と止めに入ったが無駄で、酔っぱらったB主任の大声を聞きつけたE部長や他のメンバーが2人のまわりに集まってきた。

 調子に乗ったB主任はますますヒートアップし、「君は仕事は優秀だけど性格がおとなしすぎる。もっと明るくしないと女の子にモテないよ」などと言い、周りも「いよいよBちゃんのお説教タイムが始まった」と言いながら笑って聞いていた。Aは今すぐにでも席を離れたかったが、必死で耐えた。