金曜日、新入社員の歓迎会をすることに

 GW明けの火曜日。課内朝礼の後、B主任はAに近寄った。

「遅くなっちゃったけど、今週の金曜日、課内で新入社員の歓迎会をするから予定空けておいてね」
「歓迎会って、どこでするんですか?」
「会社近くの居酒屋だよ。この頃忙しくて飲み会もなかったからガンガンやろうぜ。あれ?もしかして都合悪い?」
「いいえ……」
「じゃあ、よかった。主役がいないと宴会の意味がないもんね。そうそう、当日はE部長も参加するそうだから、よろしく!」

 B主任が去った後、Aは大きなため息をついた。

「飲み会なんて苦手だな。どうしよう……」

 歓迎会当日。A、C、Dは課長から勧められ、セッティングされた長テーブルの中央に並んで座った。宴会が始まるとE部長や課長、先輩たちが入れ替わり立ち替わり3人の近くに来ては、仕事の話や雑談をしたり「これからもがんばれよ!」など励ましの言葉を贈った。

 CとDは皆と話を合わせて楽しそうにしていたが、Aはもともと酒が飲めない上に大学生の時はコロナ禍のせいで飲みに行く機会がなかったので、酒の席でどうふるまえばいいのか分からず、会話に相づちを打つだけでその場をやり過ごした。