幽霊、妖怪、山の神、海の神…
露伴が対峙する怪異体の連想性

 第1話「懺悔室」は幽霊からの復讐が、第2話「六壁坂」では山に棲みつく人間型の妖怪からの襲撃が、第4話「密漁海岸」では神々の食べ物を窃盗した罰が、第5話の「岸辺露伴グッチへ行く」では血縁者から継承された「魔法のアイテム」による救済が描かれています。

 そして、第3話「富豪村」は、運命を転換させる神々との遭遇がテーマになっています。その前に収録されている「六壁坂」とは「山に出現する怪異」という点で共通しており、後に続く「密漁海岸」とは「山の神」「海の神」の怒りという点で対比関係にあります。

 他にもこの5話には共通する要素があり、その共通点によってエピソードがグループ化されています。これらの共通点はそれぞれの作品テーマと密接に関わり合います。そして、作品の個々のテーマは、次の作品グループに連想形式で継承されていき、二重、三重の伏線として効果的に使用されるのです。

 共通要素による話のグループ化、連想テーマ、モティーフの対比に関わる、これらの構造を表にまとめてみましょう。

表3 共通要素によるグループ化とその二重構造による連想化,表4 物語の配列の図式同書より 拡大画像表示