書籍『後悔しない転職のはじめかた のべ3万人のデータから読み解く新時代のキャリア形成入門』は、『マイナビ転職』元編集長が長年培ってきた知見をフル活用した新時代のキャリア形成入門書。マイナビ転職の利用者と各種調査対象者の、のべ3万人のデータからわかったことは、「転職後、4人に1人が後悔している」という衝撃の実態。本書では、転職希望者一人ひとりにとっての最適解を、マイナビが有する豊富なデータを参照しながら探ります。

本連載の第1回目は、第1章〈「キャリア」のこと 自分を知る〉より、後悔しない転職をするためのステップ1として、自分を客観的に分析する重要性とその具体的な方法について抜粋し、お伝えします。

多くの人は自分の能力と強みを理解していない

 キャリアとは、「過去から将来の長期にわたる職務経験やこれに伴う計画的な能力開発の連鎖を指すもの」とされています。つまり、「過去にどんな職に就いていたか」だけでなく、「将来」を視野に入れたうえで、計画的に自分の「能力を開発しつづける」ことの積み重ねが「キャリア」だということです。

 最も重要なことは、過去の経験を生かして「これからどんな未来をつかみ取っていくか」です。将来を見据えて仕事に取り組むなかで、目的をもってスキルを磨き、知識を蓄え、経験を積む──このようにキャリアを捉え、「転職=自分にとってよりよい環境で働くための重要な転機」と位置づけられれば、申し分ありません。

 転職を望む大多数の人たちは、自分の能力や強みに気づいていません。実際、マイナビ転職を利用している方からの相談では「今の仕事ではなにも身につかなかった」という話を聞くことがよくあります。ところが、ふだんの業務について詳しく聞いてみると、「それが強みなのでは? アピールしないのはもったいない!」「そういう経験を求めている企業はたくさんあるのに……」と思うことがしばしばです。

 自分の強みを見つけることが、よりよい転職への第一歩。強みが見つかれば、これまでは気がつかなかった可能性や、どんな仕事が自分に向いているかがわかります。そして、やりたいことを探す道筋がはっきり見えるはずです。