結婚前のセックスについては
昔よりも寛容になっている件

 その寛容さがもっとも顕著にみられるのが、性や結婚、出産など、考えようによっては人生にとってきわめて重い意味をもつ領域です。

 NHK放送文化研究所が5年ごとに行っている意識調査によると、結婚前のセックスは許されないと考える人は1973年には過半数の58%に達していました。それ以外の内訳をみると、婚約していれば可が15%、愛情があれば可が19%、無条件で可が3%でした。しかし2018年には、許されないと考える人は17%にまで減ったのに対し、婚約で可が23%、愛情があれば可が47%まで増え、無条件で可も7%となっています。

 この質問項目ほどには過去に遡れないものの、結婚については1993年に「人は結婚するのが当たり前だ」とした回答者は45%でしたが、2018年には27%にまで減少しました。また、「結婚したら子どもをもつのが当たり前だ」とした人は1993年には54%だったのに対し、2018年には33%に減っています。

 性や結婚、あるいは子どもをもつことは、かつては強力な社会規範が働いていた領域でした。もちろん、今でもそういった規範がなくなったわけではなく、地域や家庭によっては強く残っているところもあるでしょう。また、結婚するか否か、子どもをもつべきか否かという選択については寛容さが広がっているにしても、結婚しないまま子どもをつくるといった選択への寛容度は低く、見方によっては家族に関する規範が強く残っていると考えることも可能です。

 それでも、相対的にみれば、従来の規範は力を失い、自分の人生を自分で選択できる人が増加しました。あるいは、選択しなくてはならなくなった、と言うこともできます。