リフィル処方箋対応の医療機関は
受付や待合室に掲示されている

 リフィル処方箋の発行対象になるのは、症状が安定していて、しばらく通院しなくても問題がないと医師が判断した患者だ。主に、糖尿病や高血圧症などの生活習慣に関連する病気の患者が想定される。

 そのため、今回の改定では、生活習慣病の患者の治療に関係のある「特定疾患療養管理料」という診療報酬を見直すことで、リフィル処方箋の普及が図られることになった。

「特定疾患療養管理料」は、医師が医学的管理や健康指導を行った場合に算定される「医学管理料」の一つで、国が決めた一定種類の病気の患者に対して、診療所や中小病院(200床未満)の医師が計画的に療養管理をした場合に算定できる報酬だ。今回の改定では、この「特定疾患療養管理料」を算定できる病気から、脂質異常症、高血圧症、糖尿病の3つの生活習慣病が削除された。

 その代わりに、この3つの病気の医学管理を行った場合の受け皿として、「生活習慣病管理料(II)」という診療報酬が新設された。これは、診療所や中小病院で、脂質異常症、高血圧、糖尿病を主な症状とする患者に対して、治療計画を作って総合的な治療管理を行った場合に算定できる報酬だ。

 ただし、この生活習慣病管理料を得るためには、患者の状態に応じて「28日以上の長期の投薬を行うこと、またはリフィル処方箋を交付すること」が条件に加えられ、その旨を院内の会計窓口など、患者の目につきやすい場所に掲示することが義務づけられた。

 また、歯科医師や薬剤師、看護師、管理栄養士などの多職種の医療従事者と連携して、治療計画に基づく総合的な治療管理を行うことが望ましいとされた。

 つまり、「生活習慣病管理料」という診療報酬を加算している診療所や中小病院では、患者の状態に応じてリフィル処方箋を発行する体制をとり、そのことをきちんと患者に情報提供しなければならな区なったのだ。長期処方やリフィル処方箋を出してもらえるのは、症状が安定している患者だ。対応可能かどうかは医師が判断するため、誰でも利用できるわけではない。だが、これまでのように「うちのクリニックは、リフィルはやっていない」という言い訳は、今後は許されなくなった。

 症状が落ち着いていて、医師が長期処方しても大丈夫と判断すれば、1回受診すると、同じ処方箋を使って、3回までは薬局で調剤してもらえる。診察を受ける時間も、医療費も節約できるので、毎回の受診を負担に感じている人には朗報だろう。