リフィル処方箋を利用すれば
年間1万円以上の節約も可能

 では、リフィル処方箋を利用すると、医療機関に支払う医療費の自己負担分はどのくらい節約できるのだろうか。高血圧症で診療所を受診しているAさん(55歳)のケースで見てみよう。

 これまで、Aさんは毎月診療所を受診し、毎回同じ薬を処方してもらっていた。だが、症状も安定していることから、医師と相談してリフィル処方箋に対応してもらい、1枚の処方箋で3回まで調剤できるようになった。1年間の医療費は、次のような差が出ることになる。

 Aさんは、これまでは1回の受診で、30日分の薬を処方してもらっていた。この方法だと、1年間に12回通院しなければならないので、1年間の医療費の自己負担分の合計は1万8000円かかっていた。

 だが、リフィル処方箋は1回発行してもらうと、同じ薬を3回まで薬局で調剤してもらえる。投薬期間は医師の裁量に委ねられており制限はない。Aさんの場合は、投薬期間90日で、1回30日分ずつの薬を処方してもらうことになった。1年間に通院する回数は4回となり、1年間の医療費の自己負担分の合計は5920円。年間1万2080円も差がつくことになる。

 薬局の薬代はこれまでと変わらないが、病院や診療所に支払う医療費の自己負担分は1万円以上も節約できるのだ。


当院では患者さんの症状に応じて
・28日以上の長期処方を行うこと
・リフィル処方箋を発行すること
のいずれにも対応可能です


 会計窓口や待合室などに、このような掲示がしてあれば、リフィル処方箋に対応している医療機関だ。

 症状が安定していることがリフィル処方箋を利用するための第一条件なので、希望すれば誰でも利用できるというものではない。だが、長期に処方しても大丈夫だと医師が判断すれば対応してもらえ、投薬期間も医師の裁量で決めてもらえる。

 発行対象の患者は、糖尿病や高血圧症、脂質異常症の人だけではない。その他の病気でも症状が安定していれば対象だ。リフィル処方箋を発行してもらえば、診察にかかる医療費だけではなく、通院にかかる交通費や時間も節約できる。定期的に服用している薬があり、通院に負担を感じている人は、リフィル処方箋を発行してもらえるかどうか、医師に相談してみてはいかがだろうか。