診療報酬改定の実施日が
今年から6月1日に変更された

 前述のように、診療報酬は公的医療保険が適用された医療サービスや医薬品の価格のことだ。対象となっている医療技術や医薬品は約2万2000項目に及んでおり、その一つ一つに価格が付けられている。いわば、診療報酬は公的医療保険の「品目表」と「価格表」だが、単に「医療の価格」という意味合いにとどまらない性格を持っている。

 日本の病院や診療所は「自由標榜制」で、医師は開業する診療科を自由に決めている。さらに、民間の病院や診療所を中心に行にした提供体制がとられているため、行政は医療機関に対して、開設する診療科や提供する医療サービスを強制したり、命令したりすることもできない。だが、医師が標榜したい診療科や医療サービスが、必ずしも国民にとって必要な医療とは限らない。

 一方で、安定的な経営をするために、医療機関は高収入が見込める診療科や高い価格の医療サービスを取り入れる傾向が強い。そこで、その時々で必要な医療体制、充実させたい診療科などに高い診療報酬を付けることで、国が望む医療の提供体制に医療機関や薬局を誘導しているのだ。今年度は、リフィル処方箋を普及させるために診療報酬での誘導が行われている。

 改定する診療報酬の項目や点数(価格)は、厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)が2月上旬に答申を発表し、3月上旬に関係法令の告示や通知が出される。これまで、新しい診療報酬への改定は4月1日に行われていたが、このスケジュールだと、システム改修作業期間は1カ月半程度で、医療機関や薬局、システム改修の請負業者にとって大きな負荷がかかっていた。

 そのため、今回から改定スケジュールが見直され、薬価は従来通り4月1日からだが、それ以外の診療報酬は6月1日から改定されることになった。