現在のオフィス用デスクの多くは、1970年代に定められたJIS規格に基づき高さが70cmとやや低いため、前かがみでノートパソコンを使用すると健康を損ねる危険性がある。「だるさ」「しんどさ」の原因となる「体のゆがみ」が起きる仕組みを説く。本稿は、久保田武晴『疲労がふっ飛ぶ!10秒ゆがみリカバリー』(自由国民社)の一部を抜粋・編集したものです。
うつむいてスマホを見続けると
「ストレートネック」の危険性が
あなたはスマホを見るとき、どのような姿勢をとっていますか?
ほとんどの人は胸の高さでスマホを持ち、やや前かがみになって画面をのぞき込んでいるのではないかと思います。この姿勢は「スマホ首」と呼ばれ、長く続けていると、徐々に頸椎(首の骨)の弯曲がなくなって「ストレートネック」になってしまいます。
これまでさんざん「ゆがみは悪」という話をしてきたので、ストレートネックと聞くと、首がまっすぐに伸びて良いことのように思えるかもしれませんが、まったく違います。
頸椎は、横から見ると緩やかな前弯のカーブを描いているのが正常な状態です。この弯曲があるからこそ、頭の重さを分散させ、衝撃をやわらげることができるのです。
一方のストレートネックは、頸椎のS字カーブが失われ、まっすぐなまま固定化された状態です。これではクッションの役割を果たせないので、首の痛みをはじめ肩こりや頭痛など、体にさまざまな不調が出てきます。
スマホ首からストレートネックになってしまうのは、前かがみの姿勢が首に大きな負担をかけるからです。
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一般的に人の頭の重さは約4~5kgと言われています。これだけの重みを首や肩で支えるのはただでさえ大変なことなのですが、首の角度によってはその負担が数倍に増してしまいます。
具体的には、頭が首の真上にある姿勢のとき、首にかかる頭の重さは実際の重量と同じ4~5kgですが、首を15度下に傾けただけで12kgと倍以上になります。
さらに30度なら18kg、45度なら22kg、60度なら27kgというように、首を曲げる角度が大きくなるほど首への負担が増えていくのです。
27kgといえば小学生1人分にあたる重さですから、首がおかしくなるのも無理はありません。
スマホを見るときは自分の頭の重さを自覚し、首に負担の少ない姿勢を心掛けましょう。