前かがみでノートパソコンを
使い続けると巻き肩になる

 デスクワーカーの多くが、慢性的な肩こりに悩まされています。主たる原因は、パソコンに向き合うときの姿勢にあります。

 実は、現在流通しているオフィス用デスクの多くは、1970年代に定められたJIS規格に基づいて高さ70cmで設計されていて、パソコン作業をするにはいささか低すぎます。1970年代のデスクワークは書類仕事が中心ですから、パソコンでの作業は想定されていないのです。

 では、70cmの机にパソコンを置いて作業すると、どんな状態になるのでしょうか。ディスプレイとキーボードが分離したデスクトップ型であれば、目線と同じくらいの高さにディスプレイがくるので、極端に姿勢が悪くなることはないかもしれません。

 しかしノートパソコンの場合は、キーボードが手元から遠く、ディスプレイも小さくて低い位置にあるので、使用者はどうしても肩を前に突き出した前かがみの姿勢になってしまいます。

 この姿勢で長時間作業をしていると、肩甲骨が外側に開いて背中側の筋肉が緩み、肩甲骨を前に引っ張る小胸筋や大胸筋が硬くなっていきます。すると、両肩が本来の位置よりも内側に向いて丸まった状態で固まる、いわゆる「巻き肩」になってしまいます。

 巻き肩になると、肩の位置が前にずれて首と肩を結ぶ筋肉が引っ張られるので、肩や首の筋肉がこってしまいます。さらに首・肩の筋緊張によって血管が圧迫され、血液の流れが悪くなるので、頭痛も起こしやすくなります。

 また、前かがみでノートパソコンを扱うと、耳の後ろから鎖骨の内側へ向かって縦に伸びる胸鎖乳突筋が短縮し、首が前に引っ張られるので、ストレートネックになる危険性がさらに増してしまいます。

低いデスクでの前傾姿勢に注意低いデスクでの前傾姿勢に注意。本書より転載/Illust:(C)徳丸ゆう 拡大画像表示

長時間座り続けると背中が丸まり
S字カーブが消えてしまう

 パソコン作業でゆがんでしまうのは首や肩まわりだけではありません。長時間パソコンを使うということは、長時間椅子に座り続けるということでもあるので、腰や背中にも負荷がかかります。