特集「トヨタ、ホンダ 、日産 自動車の最終決断」(全9回)の#2は、世界第2位の自動車メガサプライヤーへ成長した「部品の巨人」、デンソーにフォーカスする。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング&サービス、電動化)の波に乗って7兆円企業となる“野望”を抱くが、トヨタ自動車によるデンソー統治のグリップは確実に強まっている。トヨタグループに依存した成長戦略は「もろ刃の剣」だ。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
デンソーの母体はトヨタの電装品部門
逆境をはね返して急成長
デンソーとトヨタ自動車との関係は、単純な主従関係とはいえない。デンソーは、表向きはトヨタグループの一員として殿様に仕える忠臣だが、実は両社には常に「付かず離れず」の緊張感があるのだ。
それもそのはず、戦後の1949年にトヨタが経営難に陥ったときに、やむを得ず分社された電装品部門が、デンソーの母体なのだ。同部門は分離前から赤字体質で、独立後すぐに従業員の3割超を整理せざるを得なかった。
デンソーは発足当初から多難の連続だった。
その後、独ボッシュから技術供与を取り付ける契約を締結。デンソー製品のレベルは格段に向上し、自動車部品の販路を米国ビッグスリーなど海外メーカーに広げることに成功した。いまやデンソーの売上高は5.4兆円に上り、兄貴分のボッシュに次ぐ世界第2位のメガサプライヤーとしての地位を確固たるものにした(下図参照)。
当初はほぼ100%だった売上高のトヨタへの依存度は、2018年度は46%まで下がっている。