会社員には
「成長機会」と「背伸びできる自由」がある
逆に、フリーランスは本当に遊びがないので、一度でもだめだったら「使えない」と判断されて、おしまいです。成長の幅をもたせてもらえない世界というのは、独立してから強く実感してますね。
これは作家業も同じな気がします。新人賞を獲って3本までは面倒みるけど、あとは部数が伸びなかったら、うちの会社からはもう本を出さないよ、みたいなケースをたくさん聞きます。とてもおもしろい作品を書く作家でも、部数が伸びなければ容赦無く切り捨てられる世界だと思います。
そんな世界を経験してみて、改めて会社員という仕組みはすごいと思います。安全圏での挑戦が許されているなら、そこにいるうちにたくさん鍛えられた方がいい。
あと、フリーランスになったら、こちらを成長させてくれるような「自分が背伸びしないと達成できない仕事」はほとんど来ないですよね。即戦力扱いなので、「確実に納品できるクオリティのもの」しか求められないのが基本で、チャレンジはさせてくれないです。
会社員時代は「少し背伸びしてここの高さまで頑張ってみよう」という機会を会社側がわざわざ用意してくれていて、「それを突破できたから成長できた」と思える瞬間があったんですよ。
そうした機会が、フリーランスになると本当に失われてしまう。独立しようかなと考えている人は、その点も含めて独立タイミングを考えた方がいいなとは思います。
フリーランスの「独立したら成長できる」は
絶対ウソ!
――「独立したら成長できる」みたいな理論、ありませんか。
あ、それは、うそです(笑)。「独立したら成長できる」は、絶対ウソです。
会社員の方が絶対成長できます。僕の場合、大概の受注仕事でフリーライターやってた頃は、成長幅はナシでしたね。自分で成長機会を作っていくしかないなと思いながら働いていました。