パソコンとデータ資料写真はイメージです Photo:PIXTA

プレゼンテーションや商談において、「数字」は説得力をもたせるためにも欠かせない要素だ。しかし、数字に苦手意識を持つ若手ビジネスパーソン(特に入社1年目)は基本的な数字すらも誤用しているケースが少なくない。成果を出せるビジネスパーソンの育成に精通し、ビジネス数学の専門家である深沢真太郎氏は、若手ビジネスパーソンの多くが「前年比」と「前年増加率」を勘違いしている、と指摘する。若手が陥りがちな数字の罠について解説する。※本稿は、深沢真太郎『入社1年目から、仕事の数字に強くなる本 説得力と信頼感が格段にアップ!』(三笠書房)の一部を抜粋・編集したものです。

ビジネスパーソンが使う数字は
「実数」と「割合」の2つだけ

 実はビジネスパーソンが仕事で使う数字は、たった2種類しかありません。1つは「実数」と呼ばれるもの。もう1つは2つの実数を比較することでつくられる「割合(%)」と呼ばれるものです。要するにビジネスシーンでは数字という言葉が2種類あると思ってください。

 実数とは聞き慣れない言葉かもしれませんが、たとえば100円、3人、90分……といったものです。ビジネスはヒト・モノ・カネを動かすことといわれますが、これらを表現する際に使われる数字であり、実態そのものを表現するまさに「リアルな数字」のこと。

 一方で、割合(%)とは、たとえば図のような数字です。

図表:割合で表現するもの同書より転載 拡大画像表示

「よい・悪い」「すごい・すごくない」といった“質”を表現する際に「割合(%)」という数字を使います。図の中の下線を引いたところに注目してください。ビジネスにおいては「ちょっと」「半分強」「ほとんど」といった曖昧な表現でのコミュニケーションが許されない場合もあります。そんなときに「割合」という数字は、とても重要な役割を担う言葉なのです。

 念のため、割合(%)という数字の“そもそも”を解説しておきましょう。

割合(%)=比べる数字÷もとの数字×100

 改めて見ると、割合(%)という数字は「比べる数字」「もとの数字」という2つの言葉から成り立っていることがわかります。言い換えれば、割合(%)という数字の裏には必ず2つの実数があるということです。

 ちなみに、割合(%)という数字を使って計算するのは「割合」「比べる数字」「もとの数字」の3種類を求めるときです。

 若手ビジネスパーソンがうっかりしてしまうミスに、「比べる数字」と「もとの数字」を逆にしてしまうことがあります。慣れるまでは、次のように理解しましょう。

「□に対して△は○%である」
□:もとの数字 △:比べる数字 ○:割合

勘違いしている人、多数!
「前年比」と「前年増加率」

図表:割合という数字の考え方同書より転載 拡大画像表示

 上図の「前年比」という数字は、前年度の数字に対して今年度の数字は増えたのか減ったのかを表現するものです。よって「300万円(前年度)に対して330万円(今年度)は110%」という構造になっています。