このとき、前年度と今年度を逆にしないよう気をつけましょう。

 また、この300万円が330万円に増えたという事実をうっかり「前年増加率110%」と表現してしまうビジネスパーソンを何度か見たことがあります。

「増加率」とは、増加した分がもとの数字の何%かを表現する数字です。増加したのは30万円であり、これは300万円のちょうど10%にあたる数字です。よって「前年増加率10%」という表現でなければなりません。

 ちなみに「前年増加率110%」とは、前年度300万円だったものが今年度630万円になったことを指します(330万円〈=300×110÷100〉の増加ということです)。

 ビジネスシーンでは頻繁に割合(%)という数字が登場します。そしてその数字から、頭の中で(あるいは電卓を使って)サッと計算しなければならない場面があります。

 暗算の達人になる必要はありませんが、周りから「えっ、大丈夫?」と思われないように、割合(%)のポイントを必ずおさえておきましょう。

 割合(%)という数字はクセ者です。というのも、すでにお伝えしたようにその裏に必ず2つの実数があるからです。こう言い換えたほうが伝わるかもしれません。

「割合(%)」だけを見る=「2つの実数」を見ない

 たとえば、「顧客満足度80%」という数字があったとします。これだけで「すごいね」と解釈するのは危険です。なぜなら、その裏にある2つの実数の存在をまったく無視した状態での解釈だからです。

実数だけじゃない
まだまだある!「割合」の落とし穴

 たとえば、次のAとBのケースを考えてみます。

A:ごく一般的な顧客をランダムに5名選んで調査した結果、4名が満足と答えた
B:超優良顧客1000人に調査した結果、800人が満足と答えた

 AとBどちらも顧客満足度80%です。しかし、Aはたった5人しか調査していない結果であり、この80%が評価に値する数字であるかは少々疑問です。またBは超優良顧客ですから、逆に20%が満足と答えていない事実のほうが重要ともいえます。いずれにせよ、顧客満足度80%という数字だけで「すごいね」とは評価できません。