割合(%)という数字を使って「よい・悪い」「すごい・すごくない」といった“質”を読み解くときには、必ず「もとの数字」が何かを把握することが重要です。このようなケースに遭遇したときにしてもらいたい指摘の仕方があります。

「その割合(%)の分母(もとの数字)は何ですか?」

 割合(%)を分数表記したときに分母の数字を確認する。このような視点を持っておくだけで、先ほどのような落とし穴にはまらずに済みます。

 最後に、ここで紹介したエッセンスが役立つ事例を1つご紹介しましょう。まずは次の文を読んでみてください。

「売上高ですが、毎年10%ずつ増加しています」

 さて、あなたはこの表現をどう理解しましたか?

 驚くことにこんなにシンプルな表現にもかかわらず、(私が目の当たりにしたものだけで)なんと理解の仕方が2種類あります。

 具体的には、図のような理解です。

図表:「10%ずつ増加」に対する2つの捉え方同書より転載 拡大画像表示

〈ケース1〉は常に前年増加率が10%と解釈した場合です。〈ケース2〉はその増加率が10%ずつ増えていくという解釈です。

 これが「売上高は毎年100万円ずつ増加しています」であれば、おそらく全員が共通の認識を持つでしょう。ところが割合(%)になると、このようなことが起こり得ます。その10%の分母が何なのかを把握しないと、誤った認識をしてしまう可能性があるのです。

 裏を返せば、あなたが伝える側のときは、ここを気をつけなければならないポイントということになります。

 割合(%)という数字における注意点をしっかりおさえてください。

数字を伝えるコツは
「相手のモノサシの数字を見つける」

 続いて「数字の使い方の基本」としてお伝えしておきたいのは、表現を変える柔らかさを持つことの大切さです。