これに対して公立中学生の通塾率は、中学1年で57%、中学2年で69%、中学3年で84%となっています。公立中学生の通塾率に劣りはするものの、私立中学生でも約半数は塾に通っており、その家庭では年平均24~38万円の塾費用をかけているのです。

 私立中学の家庭では中学受験対策にお金をかけ、中学校に学費を納め、さらに半数は塾にも課金しているわけですから、中学受験をせず、中学校の学費も不要で、最低限の塾課金で済む公立中学の家庭との費用面での差は歴然です。

中学受験は小学生には
オーバーワーク?

 中学受験のデメリットは金銭面だけではありません。そもそも小学4~6年生が挑む勉強としては質・量ともに重く、オーバーワークになってしまったり、せっかく身につけた内容でも中学受験限りで使わなくなってしまったりということが起こりえます。

 まず小学生に過酷な受験勉強を課すのが良いことなのかという問題は想像しやすいでしょう。中学受験を検討するような家庭は両親ともにハイスペックで、遺伝的に勉強が得意な可能性が高く、本人もやる気になっているとはいえ、まだまだ10~12歳の子供です。小学校で勉強をし、休憩もそこそこに塾に通い、夜まで勉強するという毎日が不健康であるという指摘はもっともだと思います。

 考えることや勉強をすること自体は悪い習慣ではなく、知的好奇心を満たしてくれる素晴らしい活動だと思いますが、受験となるとどうしても競争の側面が強くなり、本来小学生がすべき「勉強」とはかけ離れていってしまいます。

 また勉強の質についても、小学生に求められる内容としてはハイレベルで高度なものになります。中学受験の科目は国語・算数・理科・社会が基本となりますが、難関校では小学校の範囲を逸脱して、中学生、あるいは高校受験で必要とされる知識を求められることも普通です。そのため大手中学受験塾では、特に理科や社会については、小学4~5年生あたりで中学範囲を一周すると聞きます。