理解度が高く、中学範囲の先取りも難なくできる児童なら問題ないですが、ついていくのがやっとという感じだと、勉強内容的にも負担が大きいでしょう。理科・社会を中心に先取りした内容が「トラウマ」になってしまい、苦手意識を持ってしまうくらいなら中学で余裕をもって理解していった方がよかったとなりかねません。

早慶は高校から
入るのが一番簡単!?

 首都圏の中学受験割合はおよそ2割であり、これは教育熱の高い上位2割が中学受験(小学校受験で抜ける方もいますね)の段階で抜け、高校受験市場はその上位層が抜けた状態での戦いになるということです。

 例えば、早慶の付属は小学校、中学校、高校といくつも入り口がありますが、(男子に関しては)高校からが一番入りやすいとも言われています。早稲田の付属である早稲田大学高等学院、慶應の付属である慶應義塾高校などは、それぞれ高校から400人近い募集を行います(中学入試の定員は100~200名程度であることが多いです)。

 首都圏において、高校入試の母集団のレベルは中学入試のそれと比較してだいぶ下がると言われています(中学受験で優秀層がごっそり抜けるからです)。つまり、あまり市場のレベルが高くないのに、その割に高校募集枠が昔の名残で大きいままになっているというわけです。

書影『中学受験はやめなさい 高校受験のすすめ』(実業之日本社)『中学受験はやめなさい 高校受験のすすめ』(実業之日本社)
じゅそうけん 著

 また、男子に関しては高校受験では受けられる学校の数も増え(5回ほどチャンスがあります)、受験の機会も広がります。早慶各2校ずつ受験して1つでも受かったらOKと考えたら中学受験よりは易しいと感じるはずです。

 さらに、早慶やGMARCHの付属高校は国数英の3科目で受験が可能という特徴があります(中学受験ではどこも国算理社の4科目ですね)。同じ首都圏の高校受験でも、開成や筑波大附属駒場といった最難関国私立進学校、日比谷や西などの最難関公立進学校は入試で5教科(国数英理社)が問われます。そのため、早い段階から科目を絞って学習できる点も、高校受験のメリットでしょう。

 高校受験市場の中では最難関クラスで難しいのは間違いないですが、受験業界では「早慶は高校から入るのが一番簡単」という言説がまことしやかに囁かれています。