「子どもを作る以上…」共働き夫婦が直面する“究極の2択”が絶望しかない写真はイメージです Photo:PIXTA

現代の子育て世帯の多くを占める1980~2000年前後生まれの“ミレニアル世代”。家事・育児の価値観が変化し、積極的に子育てをしたい夫と、キャリアの継続を望む妻という夫婦も少なくない。しかし、本人たちの希望とは裏腹に仕事と家庭の両立には多くの課題が残されているという。※本稿は、本道敦子氏、山谷真名氏、和田みゆき氏『〈共働き・共育て〉世代の本音』(光文社)の一部を抜粋・編集したものです。

出産退職する女性は減少
一方で不本意な選択をする人も

 夫婦共働きが当たり前、といわれて久しい。最新の労働力調査では、妻が64歳以下の共働き世帯は1191万世帯に上っており、専業主婦世帯430万世帯の倍以上となっている(1*)。

 第16回出生動向基本調査によると、第一子妊娠前に正規の職員だった妻が就業継続した割合は約75%(2*)と、7割を超えた。女性の育児休業の取得のしやすさは改善され、出産で退職する人は減少したと言える。

 しかし、「共働き」といっても、その内訳は様々な就業形態の夫婦の組み合わせである。「子どものいる共働き世帯」で、「夫が役員・正社員」世帯を100とした場合、「妻が正規職員・従業員」世帯の割合は37.5%、「妻が非正規職員・従業員」世帯の割合は55.7%である。

 女性の中には、仕事よりも家庭に多くの時間を使いたい、と思う人もいるだろう。日本では正規の社員であると長時間労働になることが多いので、非正規の方が、働く時間を調整しやすい等のメリットがある。また、専業主婦を希望して出産退職する人もいる。一方、これまで積み上げてきたキャリアを中断しなければならないことを不本意に思っている女性もいるだろう。

 女性がキャリアを中断せざるを得ない大きな理由の一つとして、日本における夫婦の家事・育児の非常に偏った分担状況がある。

 社会生活基本調査にあるように、日本では妻の就業形態にかかわらず、家庭内での家事・育児負担が極端に女性に偏っており、男性はほぼ仕事しかしていない。つまり、夫婦ともにフルタイム勤務の会社員であろうが、妻がパートタイム勤務の非正規職員であろうが、妻が専業主婦であろうが、家事・育児を主に担うのは女性なのである。

 これでは、いくら会社側が両立支援の制度を整えても、女性は家庭での負担が大きすぎて、就業を継続するのが難しくなったり、非正規の職員・従業員でも家事・育児で手一杯ということになったりする。

(1*)…2022年総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」、共働き世帯は夫婦ともに非農林業雇用者、専業主婦世帯は夫が非農林業雇用者で妻が非就業者(非労働力人口及び失業者)の世帯。
(2*)…2021年国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」内図表9‐5「第1子妊娠前の就業状況・従業上の地位・第1子出生年別にみた、第1子1歳時の従業上の地位および育児休業制度の利用の有無」の「妊娠前正規の職員」グラフより。正規の職員(育休あり)と正規の職員(育休なし)の合計値。