また、誰もが育児休業を取得しやすくするため、育児・介護休業法が改正されている。2022年4月から、企業(事業主)には制度の周知や個別の意向確認等が義務付けられた。10月からは2回に分割して育児休業を取得することが可能になった。また、育児休業とは別に、子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能な「産後パパ育休」も創設された。

 2023年4月からは、従業員数1千人超の企業に、育児休業等の取得の状況を年1回公表することも義務付けられた。

 このように、周囲の掛け声は大きくなる一方だが、職場の当事者たちはどのように思っているのだろうか。2022年に行った「21世紀職業財団 ダイバーシティ&インクルージョン推進状況調査(以下財団D&I調査)」(7*)において、将来的に子どもを持つ予定がある男性に、今後育児休業を取得したいと思うかどうか尋ねたところ、20代では83.2%、30代では77.4%、40代は67.8%の人が「取得したい」と回答した。いずれの年代でも多くの男性が育児休業取得を希望している。

「子どもを作る以上…」共働き夫婦が直面する“究極の2択”が絶望しかない本道敦子 山谷真名 和田みゆき『〈共働き・共育て〉世代の本音』(光文社)

 同調査で、企業規模別に男性が育児休業を取得しやすいかどうかを調べた。301人~500人規模の企業では「短期間でも取得しにくい」が46.5%となっている。また1万1人以上の大企業においても、「短期間でも、長期間でも取得しやすい」という割合は27.8%にすぎない。その結果が、日本の男性の取得率17.13%である。

 まだ男性の育児休業取得が当たり前になっていない、法改正の効果が出るのはこれからで過渡期だから仕方ない、という見方もあるかもしれないが、職場の環境や意識が変わらなければずっとこのままの状態が続くかもしれない。

(7*)…2022年6月(公財)21世紀職業財団「ダイバーシティ&インクルージョン推進状況調査」、Webアンケート調査、11業種、従業員101人以上の企業に勤務する20~59歳の男女正社員(管理職以外の一般社員)4500名。