地方のイオンでよく見られる
「若者の恋」に関する願い事

 中高生になると、思春期という大変革期にあるためか、願いの方向性がだいぶ変わってくる。以下は千葉県内某市、筆者宅近所のイオンの短冊である。

・○○と結婚できますように

・○○とずっと一緒にいられますように

・彼氏ができますように

・○○と両思いになれますように

 これも普遍的であろう、恋にまつわる願いである。イオンといえば思春期前後の地元の若者がこぞって集う地域の中心的なスポットであり、恋に忙しい若人たちは、友達同士でいるテンションそのままに恋の願いを短冊に書き連ねる。決して世相を反映している内容ではないが、これがイオンの短冊に書かれているという点がいかにも現代っぽい。

 短冊の設置場所が変わると、そこに書かれている願いの傾向も大幅に変わる。都内の、中学受験塾の隣りにあるスーパーの短冊には、「志望校に合格したい」、あるいは「学力を上げたい」といった願いが顕著に多かった。その中に混じって以下のようなものもあった。

・勝ち組になれますように

・陽キャになれますように

 自分の将来、または教室での自分の立ち位置を案じている子どもの姿が、うっすら見えるかのようである。

「勝ち組」や「陽キャ」といった新語はだいぶ使い古されてきてはいるがまだまだ現役である……とはいえ、表立って使うのも今さら感があって気が引けるが、小学生ならアグレッシブだから、とりあえず吸収した知識を即いじりまわして、手触りを体験的に学習していくのであろう。令和に浸透している新語が短冊に登場している由来は、そのあたりにある。