また、働いているパパやママの願いにはこのようなものがあった。
・家族が健康でいられますように。あと会社であまり怒られませんように
・上司が少しおとなしくなりますように
こうした形で職場に関する弱音や愚痴が語られることからも、個人の意思が闊達に発信される現代らしさが感じられる。
達筆な願い事から垣間見られる
老後に不安が感じられやすい世相
願い事の内容から年齢が「そう」とうかがえる高齢者らしき人には、達筆が多い。高齢者の願いは家族など身の回りの人の健康や、世界の平和を願う趣旨のものが目立つ。「歳を重ねると皆温厚になるのだなあ」などと思って見てみると、達筆で唐突に「自民党消滅!」と書いてあったりして驚かされる。政治や主義の主張に関しては、歳を重ねると先鋭化するケースはあるのかもしれない。
個人的に気になった達筆の願いは以下である。
・この先もずっと変わらず、○○市に住み続けられますように
ただの地元愛のようにも読めるが、現代の情勢に対する不安もよく現れている。物価高に脅かされ、この生活がいつまで続くともしれない。また、「老後資金2000万円」などと言われるようになって、余生は脅かされる一方である。それが「今のこの○○市に住み続けたい」という切なる願いになって表れていた。
人々の願いは世相をよく映す。5年後、10年後、また短冊を見かけたらぜひ精査して、その時代の特徴を改めて感じてみたいものである。