七夕飾りは煩悩の木?短冊に刻まれた老若男女の「切実な願い事」、恋愛・承認欲求・生活不安…七夕の願い事には人々の思いがストレートに表れる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

笹の葉サラサラ……。この時期になるとそこかしこで見られるようになるのが、笹飾りと短冊である。願い事には人々の思いがストレートに表れ、そして世相も反映される。令和6年の短冊には、いったいどんな願いが書き込まれているのだろう。(フリーライター 武藤弘樹)

よくよく読めば興味深い
人々の願いが込められた短冊

 今年も七夕の季節となり、街中で笹飾りに吊るされた短冊群を目にするようになった。短冊には人それぞれの願い事が書かれている。多くの願いが灯って暖かく光る希望の木のようでもあり、明文化された欲望が人のドロドロを物語る煩悩の木のようでもある。

 例年行われている慣習であり、自分の願いを他力が叶えてくれるほど世の中が甘くないことはすでに学んでいて、かつ他人の願い事にも特に興味はないので、大量の短冊が吊るされているのを発見すれば、「短冊だ」と認識こそすれ特に近づこうと思わない。これが大方の大人の反応であろう。

 今年筆者がそれに近づいたのは、家族で出かけた際に見かけたからで、ひとつ自分たちも書いてみようということになったのである。興味のなかった短冊作成も、誰かと一緒に戯れで取り組めば罪なく無料で楽しめるイベントとなる。

 そして書く段となって、家族の健康くらいしか願い事が浮かばず、それによってずいぶん自分が歳を取って丸くなったことを知りショックを受けたわけであるが、それはさておき、目に入ってきた他の人たちの短冊が実に”現代”という時代を反映していて面白かった。

 面白かったので出先で笹を見かけるたびにチェックし、それらからもやはり”現代”を感じることができた。その一部を紹介したい。

 なお、短冊の内容はなるべくその場にいる人の確認を取った。取れないものについては、個人情報に触れないように配慮し、また内容をぼかす形で掲載している。