国内外共通の“リモートワーク”の前提条件とは?
東さんは、キャリアに対する考え方を寄稿した「フレッシャーズ・コース2025」のなかで、こう記述している――「業務内容や職種によっては、職場に毎日出社される方もいると思いますし、ハイブリッド勤務を取り入れている企業やフルリモートで仕事をするという方もいらっしゃるかもしれません。私は、これまでの社会人キャリアの中で、それらの勤務形態をすべて経験しました」。
国内にいたときも、コロナ禍では、フルリモートワークだったという。
東 上司が東京にいて、私は大阪在住という就労環境で、1年間フルリモートで仕事をしていた時期があります。リアルで会ったのは1年間で2回だけ。その上司とは新卒時代に仕事をご一緒させていただいたことがあり、お互いの人柄や考え方を知っていたので、年2回しか会わなくても、支障はありませんでした。リモートワークを行ううえで、「相互理解」はとても大切。リアルに会ったことがない状況から、良好な人間関係を築くには工夫が必要でしょう。
エンゲージメントの低下などコロナ禍での学びから、昨今では、週1、2回の出社を義務づける企業や組織も少なくありません。しかし、順番性で出社する場合は、出社しても、結局、多くのメンバーとモニター越しで対面することになったり、リモートワーク前提での組織編成になっており、チームのメンバーは拠点で自分だけ(出社)、といったケースも出てきているようです。
時差がほとんどない場合は、国内と海外のリモートワークはそれほど変わらないようだが、特に、“海外リモートワーク”を行う人が気をつけたいことは何か?
東 相手からすると自分の状況や気持ちが「見えづらい」ということを前提に、十分な報連相を心がけ、仕事のアウトプットをしっかり出していくことが大切だと思います。そして、海外の生活は日本とは違うので、相応の自己管理が必要です。私の場合、ベトナムは2ヵ国目で、1ヵ国目のときの経験が生活のさまざまな場面で活きています。どんな人も、海外に住んだことがあるかないかで心持ちは全然違うでしょう。1ヵ国目のときは、「何かのトラブルがある」という心づもりで、日本と同じようにはいかないのは当たり前、くらいで考えておくのがいいと思います。ベトナムでの生活では、洗濯機が壊れる、エアコンから水が垂れてくる、扉が開かない、などはまぁあることですし、オーストラリア(当時)では、物が指定した時間に届いたら奇跡でした(笑)。そういった意味では、海外に暮らしてみて、改めて日本の素晴らしさを感じています。