篠田丈・アリスタゴラ・アドバイザーズ会長グループCEOインタビューPhoto by Yoshihisa Wada

メガバンクは富裕層向けビジネスを次の鉱脈として捉え、陣容を強化している。ところが欧州の伝統的プライベートバンクと提携し、富裕層向けのサービスを提供しているアリスタゴラ・アドバイザーズの篠田丈会長グループCEOは、メガバンクは現在進めている陣容強化以前に、取り組むべき課題があると話す。詳しく話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

富裕層向けビジネスを強化するメガバンク
欧米に比べて市場が育っていない理由は?

――メガバンクを中心に、日本の金融機関は富裕層向けビジネスを強化しています。この状況をどのように分析していますか。

 日本における富裕層向けビジネスの市場が有望なのは間違いありません。ただし、欧米と比較して、まだ市場が育っていないと思います。金融資産の管理・運用だけでなく、教育や医療など、一族のあらゆるニーズを引き受けるファミリービジネスが根付くまで、しばらく時間がかかるでしょう。

――日本にも多くの富裕層がいます。なぜ市場が育ってこなかったのでしょうか。

 いろいろな課題があると思います。

アリスタゴラ・アドバイザーズは独立系コンサルティングファーム。事業の一つとして、富裕層向けアセットマネジメント事業を手がけている。スイスの4大プライベートバンクの一つであるボーディエ(Bordier & Cie)他、五つの欧州のプライベートバンクと提携するなど、富裕層ビジネスを早くから手掛けてきた。日本において、富裕層ビジネスで成功を収めるために必要なことは何か。篠田丈会長グループCEOに話を聞いた。