こういうタイプへの対処法は?

榎本博明『「指示通り」ができない人たち』(日経プレミアシリーズ)榎本博明『「指示通り」ができない人たち』(日経プレミアシリーズ)

 このような従業員には、とにかく読解力を身に付けてもらう必要がある。そのためには、読書などを通して読解力を磨いていくしかない。基本的な国語の参考書などで文章の読解の練習をするのもよいだろう。

 そうした国語力を高めるという方向の対処に加えて、前述のように視点取得を促すのも効果的である。視点取得というのは、他者の視点を自分の中に取り込むことを指す。

 相手の言い分をうまく理解できない場合や、コミュニケーション上のトラブルが目立つ場合、この視点取得ができていないことが多い。相手の視点からはどのように見えるのかを想像できず、自分の視点からしかものを言えないため、わかり合えず、トラブルになってしまうのだ。

 自分の視点からしかものを見ることができず、想像力を働かせて他者の視点に立ってみるということがないと、人の言い分が理解できない。そうしたことの改善にも威力を発揮するのが読書だ。読書によって自分とはまったく異質の作者や自分とはまったく異質の登場人物といった他人の視点に触れることができるからだ。それによって自分以外の視点を取り込んでいくことができる。本を読まない人が増えている今日、認知能力の問題からトラブルに発展するケースが目立つので、社員教育においても読書の効用を活かすことも考えるべきではないか。

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