銃乱射事件で使われる
AR-15とはどんな銃か

 今回使用されたAR-15という銃は、アメリカの乱射事件でよく使われてしまう銃です。AR-15はアメリカ製のライフルで、一般的に手に入りやすく、カスタマイズしやすいという特徴があります。

 例えば、銃の弾数を増やすために改造することができます。セミオートマティック(引き金を一度引くと数発撃てる)や、オートマティック(連射、引き金を引いている間ずっと撃ち続ける)にもできます。

 ライフル銃は通常、連射やセミオートマティックのような機能が危険とされ、州によって異なりますが、法律で禁止されていることが多いです。

 正当な所持を許された人でも、連射機能は通常禁止されています。しかし、AR-15のような銃はカスタマイズしやすいため、秘密裏かつ違法に改造されることがあります。

 AR-15の有効射程距離は400mと言われており、今回の事件の射程距離である130mなら、機能的には十分に足ります。
 
 ただ、実際に銃弾を命中させるとなると話は別です。警察官の訓練でも30mや50mの距離で拳銃を使用しますが、それでも的に当てるのは​難しい。ライフル銃は拳銃よりも安定性がありますが、それでも130m以上の距離から狙いを定めるには相当な技術が必要です。

 私は容疑者の背景について、当初は現役または元軍人・警察官を想定していましたが、実際は一般人であることが明らかになりました。

 銃の所持許可を持つ父親の銃を使用したという情報(7月15日 時事)があります。また、容疑者が銃のサークルに所属しており、射撃訓練場などで経験を積んでいた可能性も考えられます。アメリカには一般人でも利用できる射撃訓練場があり、そこで知識や技術を身につけることができます。

 ライフル銃の使用には相当な経験と技術が必要で、特にライフル銃の反動(ハンドアップ)に対処するには練習が必要です。全く経験のない人間では、このような狙撃を行うことは困難だったでしょう。

 130mの距離からトランプ氏の耳に弾丸を貫通させるほどの高い精度で命中させていることから、容疑者には相当の技術と経験があったと推測されます。知識だけでなく、実践的な経験がなければ、このような精度の高い射撃はほぼ不可能です。

 容疑者がどのように銃の扱いに慣れたのかは、今後の捜査で明らかになるでしょう。容疑者がどのように銃の扱いを学び、練習を重ねたのかはまだわかりませんが、全くの素人ではないことは確実だと言えるでしょう。