耐震診断をしない
最大の理由は「予算がない」
調査結果では、耐震診断をしていない1割超の建物に、理由も照会している[図表3]。
複数回答ながら、最大の理由は「予算(すなわち耐震のための工事費)がない」であり、全体の4.5%とおよそ22.1棟に1棟の割合だ。「金がなく耐震改修工事ができない以上、診断するだけ無駄だ」「診断して『耐震性がない/このままでは危険』と判断されても、どうせ何もできないのだから、費用は耐震診断ではなく別のところに投じたい」と現状をただやり過ごしているとすれば、建物が大型ゆえに率直に言って恐ろしい。
2番目に多い理由には「(耐震診断が必要だということを)これまで考えたことがなかった」が全体の2.9%を占めた。
巨大地震による被害の多い国ゆえ、第一印象として理由・水準共に信じ難かったが、調査結果に「老朽化対策についての議論の有無」が含まれていたため、建物の完成年度別の切り口で参照した[図表4]。
結果は、「議論がない」が全体の3分の2を占め、完成年度別でも、50年前の1974年以前に完成した物件の4分の1が未だ老朽化対策の議論を行っていない数値となった。戸建住宅では建物価値ゼロの古家扱いとなる区分であり、一般的な管理形態では過去に一度以上の大規模修繕が行われたことが見込まれる25年前の1999年以前に区切っても、「ない」が54.3%を占めた。