要注意物件が
全体の約16%
国土交通省では、マンションの管理組合や区分所有者(物件オーナー)による物件の管理実態を把握するため、5年ごとにマンション総合調査を実施している。
6月21日に、最新となる「令和5年度マンション総合調査」の結果(以下「調査結果」とする。)が開示・公表された。47都道府県の物件を対象とした総数400ページ超に及ぶ膨大な報告書だが、驚くような数値が相当数含まれているため、これらについてごく簡単に紹介・解説させていただきたい。
現在の耐震基準は、1981年6月1日の改正建築法の公布・施行によるもので、それ以前に建築確認申請が受理されている建物が俗に旧耐震基準と呼ばれる。1978年6月に発生した宮城県沖地震で約7400戸の建物が全半壊したことを踏まえた法改正ゆえ、公布に先立った行政指導によって相当数の建物が新耐震基準を満たして建てられた。従って、必ずしも「完成年次が改正建築法の施行以前=旧耐震基準」とはならないことに注意されたい。
その一方で、いわゆるビンテージマンションを含め、築古マンションも増加している。国土交通省の「築40年以上の分譲マンション数の推移」によれば、2022年末時点で、築40年以上のマンションがすでに約125.7万戸に達しており、旧耐震基準の建物も多い。
調査結果からは、物件総数の2割弱が旧耐震基準で建設されている実情が窺える。驚かされるのは、その過半数、全体の1割以上が、調査時点でなお新耐震基準での耐震診断を行っていないことだ。
耐震診断を行った結果、「(さらに)詳細な診断が必要」と診断された建物、「耐震性なし」と診断された建物を含めると、これらの要注意物件は全体の15.9%(6.3棟に1棟)に及ぶ[図表2]。