受注がたくさん入った、急いで家を建てないといけない――そんな焦りが、実に多くの新築住宅で欠陥を生み出している。なんと、新築住宅の8割に欠陥があるともいわれているのだ。特集『戸建てバブルの裏側』(全6回)の#5では、欠陥の元凶を解明し、欠陥住宅をつかまされないための施工不良防止“完全マニュアル”もお届けする。(ダイヤモンド編集部 大根田康介)
小さなミスでも積み重なれば一大事
棟数が急伸した建売業者で欠陥も急増
2019年と20年に実施した新築木造住宅の検査において、182件中150件、実に8割以上で施工不良が発覚した――。住宅診断大手のさくら事務所が、そんな衝撃的な検査結果を発表した。しかも、その多くが耐震性に関わる重大欠陥だ。
21年に入り、数はさらに増えているという。施工不良が多発する会社の特徴は「一気に棟数が伸びたような建売業者など、いわゆるビルダーといわれるところ」(さくら事務所の田村啓氏)。戸建てバブルの負の側面だ。
振り返ると16年の熊本地震では、多くの家屋が倒壊した。状況が把握できた77棟のうち73棟が、現行規定の仕様となっていない接合部による影響が原因だった。簡単に言えば、木材と木材をつなぎ合わせる金属部品が建築基準法で求められる規定通りの施工ではなかったということだ。
一つ一つは小さなミスかもしれないが、積み重なれば人命や財産に関わる一大事となる。通常の現場なら、こうした施工不良は現場監督や職人がチェックして気付き、その場ですぐ改善されるはずだ。それなのに、なぜミスが見過ごされてしまうのか。
次ページでは、施工不良が起こる悪質な五大元凶を解明し、施工不良を防止するための“完全マニュアル”を披露する。