とか、そんな趣旨の盛りだくさんなアドバイスをした挙句、最後の署名は「愛の天使より」。
あるいは、友人たちに誘われ、新しいベンチャー企業を興そうと息子がたくらんでいると知った時は、
というような趣旨のことをくだくだしく言った後、最後の署名は「共同経営者より」。
要は「お前はただ俺の命令に
従ってりゃいいんだ」
それから多角経営をしている自社を批判し、事業を整理して資金を一極集中させた方がいいんじゃないかと息子が言ってきた時には、
というような内容のことを言っておいて、最後の署名は「ウォード船長より」。
こんなのを延々30通も読まされて、ほろりとくるのだろうか? 少なくとも私に関しては全然こない。落涙なんかしない。特に、手紙の最後に添える署名のイヤらしいことたるや、本当に趣味が悪い。
というわけで、どうしてこの本が素晴らしい自己啓発本だ、父性愛の見本だ、みたいなことを言われるのか、私にはさっぱり分からない。
ちなみにキングスレイ・ウォードにはもう1つ、同じく家業を継いだ娘に宛てた手紙を編纂した『ビジネスマンの父より娘への25通の手紙』という続編があって、これまた城山三郎氏の手によって邦訳もされているが、私の見るところ、こちらの方が嫌味がなくて読み易い。