それは検察の忖度でしょう。検察といえども、1つの事件で国会議員を2人も3人も捕まえるのはたいへんなことですから。

 それと、安倍派のキックバック復活に森さんが関与したという報道がありますが、正しくありません。森さんは関与していません。森さんは昔から「若いやつが売ったパーティ券収入は、すべて本人の収入にさせろ」という考えを持っていました。もちろん、ちゃんと収支報告書に記載したうえで、ですよ。

――一般の人なら、数百万円の脱税で逮捕されてしまいます。政治家がそのようなことを平気でできるのはなぜなのでしょうか?

 6億7000万とか2億6000万の不記載というのは、ただ事じゃないと思いますよ。今、日本の会社員の平均年収は450万円です。10年働いて4500万円。4億5000万稼ぐためには100年働かなくちゃならないんですよ。じゃあ、なぜそんなことができるのか? これはひとえに「甘えの構造」でしょう。「みんなもやってるから大丈夫」と思ってるんでしょうね。

――秋の自民党総裁選は、派閥なき総裁選となるわけですが、どんな影響があると思われますか?

 結局は、収まるべきところに収まるんじゃないでしょうか。派閥があろうがなかろうが、やはり日頃から太い人間関係を築いている人が出てきて、その人と志を同じくする人が集まるでしょう。同じ考えを持った議員たちが40〜50人集まって、「この人を総理総裁にするんだ」となったら、それにふさわしい人が選ばれるんですよ。能力や人望がない人はなれないんです。

 それを支える議員も、「この人を総理にするんだ」という思いがあるほうが政治家として活動しやすい……そういった意味で、派閥という政策集団は、人材発掘、人材登用のためのいい仕組みだと思っています。

「本当に頭のいい人」と「学歴だけの人」の決定的な違い、鈴木宗男が次の自民党総裁に求める能力とは?Photo by Wataru Mukai

 政治家にいちばん必要なのは「人間力」なんですよ。能登の地震でも「こんなとき、田中角栄先生がいれば」という声がよく聞かれました。田中先生は小学校しか出ていない。政治家に高学歴や偏差値の高い秀才はいらない。「頭のいい」政治家が必要なんです。

 私の言う「頭の良さ」は何かと言ったら、「人の心をとらえる」「人の痛み・弱みを理解する」こと。それがあるかないかが勝負なんです。

――鈴木さんが、いまの政治家の中で「頭がいい」と思う人は誰ですか?