マグロ日本海西部では初夏にまき網漁船によるクロマグロ漁が活発に行われる(6月11日、鳥取県境港にて) Photo by Hiroshi Kashihara

北海道・釧路市で行われた太平洋クロマグロの漁獲量をめぐる国際会議が行われた。漁獲枠を大幅に増やす日本の提案は受け入れられなかった。太平洋クロマグロの最大の漁獲国であり、最大の消費国でもある日本は、なぜ交渉の主導権を失ってしまったのだろうか。(経済ジャーナリスト 樫原弘志)

太平洋クロマグロの漁獲枠見直し
背景に資源量の劇的回復

 7月16日まで北海道・釧路市で開催された太平洋クロマグロの漁獲量をめぐる国際会議では、大型魚(30キログラム以上)の漁獲を現行より131%増、つまり2.31倍とし、小型魚(30キログラム未満)も30%増とする日本の提案は退けられ、米国や韓国が推す大型魚50%増などとする案で決着した。

 今回、釧路で開催されたのは2つの国際会議だ。中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)と全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)による合同作業部会と、WCPFC北小委員会である。

 太平洋クロマグロは日本周辺で生まれ、米国やメキシコの沖合まで広く回遊する魚だ。そのため、毎年、太平洋の東側の漁場を管轄するIATTCと、西側の漁場を管轄するWCPFCが規制内容をすり合わせている。