「大間まぐろ」崩壊の危機、最高級ブランドの2つの闇にメスで大揺れPhoto:PIXTA

マグロの最高ブランド「大間まぐろ」が二つの問題に揺れている。一つは、産地表示にまつわる問題、もう一つは、昨年秋に表面化した漁業法違反の疑いのある“ヤミ漁獲”だ。大間には、産地偽装を疑う声も出ていて、東京都も水産卸売業者に産地確認を徹底するよう注意喚起している。ヤミ漁獲も長期にわたって実施されているとみられ、問題は根深い。産地表示の問題とともに過去にさかのぼって徹底調査を進め、ウミを出し切ることが必要だ。(経済ジャーナリスト 樫原弘志)

青森県・大間から豊洲市場に
「福島」原産のクロマグロが出荷

 今年1月27日、東京・豊洲市場に青森県大間町の大間漁業協同組合から「太平洋沖北部」を原産地として表示したクロマグロが出荷された。翌月、2月15日には大間漁協を通さず、大間の漁業者自身を出荷者とする「福島県産」のクロマグロも出荷された。

 大間産以外のマグロが大間から豊洲市場に送られるのはこれまでなかった現象だ。市場関係者からその話を聞いたとき、私は耳を疑った。

 しかし、事実だった。東京都が情報公開請求に応じて開示した文書でも確認できた。開示されたデータを編集・加工して、不要な情報を削除し、民間出荷業者名も伏せたが、写真の表の通りの状況だ。

大間から豊洲市場に送られたマグロの原産地大間から豊洲市場に送られたマグロの原産地
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 原産地を「太平洋沖北部」として青森県漁業協同組合連合会と大間漁協が豊洲市場に出荷したのは1月27日の5本、2月4日の4本だ。県漁連は「表示は漁業者からの申し出による」(業務部)という。

 また、原産地「福島」のマグロは2月15日に6本、同28日に6本出荷されている。漁業者が自ら出荷者として豊洲市場に送った。県漁連・大間漁協に「太平洋沖北部」原産のマグロ出荷を委託していた漁業者である。

 大間在住の漁業者または出荷業者から豊洲市場に送られるマグロは、青森県大間産のマグロとして扱われてきた。特に、大間漁協が扱ったマグロには地域団体商標「大間まぐろ」ラベルが貼付され、値段も高い。この商標は、津軽海峡の下北半島大間沖で捕れたという証明だった。

 なぜ突然、青森・大間以外の原産地が表示されるようになったのか?