大型魚を131%増、小型魚を30%増にするという日本の提案はISCがまとめたシナリオのうち7番目に該当するもので、この場合は初期資源量の20%という目標を達成できる確率は63%に低下する。また、数字が示す通り、資源状態が悪化するリスクも伴う。
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これに対し、米国の提案は、大型魚は50%増とし、小型魚の増枠は見送りとする内容だった。シナリオ13番で、初期資源量の20%水準を維持できる確率は98%と極めて高い。出席者によると、メキシコは会議の中で米国よりも厳しく大型魚の増枠を25%にとどめるよう求め、日本の提案を厳しく批判したという。
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IATTCを牛耳るこの米墨2国が大型魚の漁獲量増枠を50%以下にとどめるべきだと主張した時点で、日本の提案は葬り去られることが確定した。最大の漁獲国であってもしょせん、太平洋クロマグロを漁獲する国の一つに過ぎず、国際機関を意のままに操るパワーなどないのである。
したたか韓国は新規枠設定に成功
日本はなぜ“暴走”したのか
それだけでなく、日本は隣国の韓国にさえ見放された。
韓国は大型魚の漁獲枠が実質ゼロに近い状態だった自国水域にも大量のクロマグロ大型魚が回遊してきているとして、2002~2004年の漁獲実績をもとに国・地域別の漁獲量を決める方式を「不当だ」と主張。最近の環境変化を反映させるため、過去5年間で最大の実績である500トン相当の新規漁獲枠を設定するよう要求して、認めさせた。
その一方で、全体としては大型魚50%増、小型魚15%増にとどめるべきだとする立場を表明、日本の提案とは距離を置いた。
韓国はこの2年あまり、「領海内の資源をどのように管理するかは沿岸国の権利である」として独自の漁獲量設定案を繰り返し提示してきたが、今回、関係国・地域からの同意も得て円満に枠を設定した。単純に大きな漁獲量の設定を提案して退けられた日本と比べて、提案する力、駆け引きする力は一枚上かもしれない。
なぜ、日本は暴走といってもいいような大型魚131%増、小型魚30%増という提案を掲げてしまったのだろう?