ところで、釧路での国際会議には関係国・地域からおよそ160人が参加した。日本代表団はおよそ80人もいて、その半数は傍聴のみのオブザーバーである漁業者やその団体関係者だった。

 報道機関に対しては極めて冷淡な国際会議で、記者による会議の傍聴を認めず、初日の会議冒頭のカメラ撮影の機会を除いて会場の釧路市観光国際交流センターの建物に入ることさえ禁止した。

 WCPFC・IATTC合同作業部会で日本案が葬り去られ、米国などが主張する方向で漁獲量が決まっていくのを見届けて、大勢の漁業者が会期途中で釧路から地元に帰っていったが、彼らはみな会議の内容をメディアに漏らさないよう水産庁から固く口止めをされていたようだ。

 会議での各国・地域の代表による報告や意見発表はあらかじめ文書でWCPFC事務局に提出され、ホームページで公開されている。

 それなのに傍聴禁止、立ち入り禁止を含め、どうして報道管制のような措置をとるのか理解に苦しむが、WCPFCや水産庁がメディアに対する排他的な慣行を是正する兆しは全く見られない。

 クロマグロ漁獲をめぐっては、規制開始当初から未報告漁獲、密漁といった不正が後を絶たない。ルールについて周知されていないことがあまりに多く、メディアが果たす役割を国際機関や水産庁が軽視していることにも問題があるだろう。よりオープンな会議運営、規制作りの可視化を期待したい。