WCPFCは2015年の会議で小型魚の漁獲を基準となる漁獲量(2002~2004年の平均漁獲量)の半分に減らす措置を決定し、2年後には大型魚の漁獲も基準値を上回ることがないよう抑制することを決め、それぞれ翌年から実行している。
今春、北太平洋まぐろ類国際科学委員会(ISC)がまとめた分析によると、太平洋クロマグロの産卵資源(親魚)量は過去12年間で劇的に回復していて、回復の目標としていた「初期資源量の20%」という水準を2021年に達成していたことが確認された。漁獲削減・抑制の効果がはっきりと表れてきたのである。
日本は漁獲枠の大幅増を提案
他国から厳しい批判
資源回復の流れの中で、大型魚についてはすでに2022年から15%の増枠を実施していた。しかし、今回のWCPFCとIATTCの合同作業部会は、規制開始以来初めてとなる小型魚の増枠を含めて本格的な漁獲上限の見直しを話し合うことになっていて、大きな注目を集めていた。
ISCのクロマグロ研究者らはWCPFCとIATTCからの依頼を受け、大型魚、小型魚のそれぞれの扱いや、太平洋の東側と西側の比率の調整などを考慮して合計18の漁獲シナリオを用意し、親魚量に与える影響を試算した。
現行の制限をそのまま継続するなら、およそ20年後の2041年時点でも初期資源量の20%水準という現在の目標レベルを維持できる確率は100%、初期資源量の40%以上の水準にまで高めることができるとの結果が出ていた。