欧米の販売網開拓で
海外の売上高が国内を逆転

 三菱鉛筆がコロナ禍の営業不振から脱したのは、海外での売り上げ増だった。欧米での販売網開拓に投資して、22年度には海外の売上高が国内を逆転した。

<米欧で売れ筋の水性ボールペン。価格は3本で約8ドル(約1300円)と競合より5割高い。書きやすさに加え、気圧が低くてもインクが漏れづらい設計にしてある。飛行機で安心して使えるとビジネスマンから人気だ。数十年蓄積し続けた、インクの粒子を均一に保つ技術が生んだ>
日経新聞、24年7月5日

 という。値段が高くても機能の高いものが海外でも支持されていったのだ。

 4月25日に発表された同社決算資料でも海外市場の堅調さがうかがえる。

<売上高は海外市場での堅調さ、国内市場も回復、そして円安の好影響もあり、過去最高売上高を更新>
<経常利益、当期純利益も過去最高を更新>
<2024年Q1の売上高は、過去最高売上高を記録した2023年を超える水準>
<国内ではシャープや多機能ペン、海外ではサインペンによる市場開拓が売上高を牽引>
(三菱鉛筆株式会社「24年 12月期 第1四半期決算補足説明資料」)

 欧州を中心にサインペンの「ポスカ」の販売が好調で、国内ではボールペンの「ジェットストリーム」や、シャープペンの「クルトガ」などの主力製品が好調だったという。

ロングセラーを生み出す秘訣は
絶え間ない研究開発

<三菱鉛筆は、鉛筆の他にボールペン「ジェットストリーム」、マーカー「ポスカ」など多数のロングセラーを持っています>
<なぜ、こうしたロングセラーを生み出せるのでしょうか。数原氏は「うちは、意識的に研究開発への投資をしています」と語ります。決まったルールはないですが、毎年、売上高の5%程度を研究開発費に充てているといいます。/三菱鉛筆は、先々代の祖父、先代の父も、研究開発を重視してきました。こうした伝統は今も引き継がれています>
ウェブメディア「賢者の選択サクセッション」『みんな使った三菱鉛筆の高級鉛筆「uni」愛され66年』24年3月29日

 ロングセラーには、技術の裏付けがあったのだ。