創造的な作業は
手書きの方がよい

 デジタル社会に文房具はオワコンと考える人もいるだろう。報道業界でも、記者会見でノートパソコンを打つ記者がほとんどだ。しかしスペインのカディス大学の研究(16年「大学生のノート作成における手書きとPCタイピングの比較研究」)によれば、次のような結果が出ている。

<パソコンでノートをとった学生は、アルファベットの再現、文章の書き取り、単語の認識に基づく課題において、より良い成績を収めた。一方、しかし、手書きのノートを使用した者は、自由想起の課題ではより良い成績を収めた>

 つまり、新聞記者のように、誰かの発表を正確に書き写すという点ではデジタル機器を利用した方がよく、そこから相手の発言をもとに創造的な作業に移行する、思考力を使うならば、手書きのノートを使った方がいいということになる。デジタル社会が到来しても人間が思考を続ける限りは、文房具の必要性はなくならないだろう。

三菱グループではないが…
「三菱」に込められた意味

 ちなみにだが、三菱鉛筆は三菱グループには所属していない。三菱鉛筆のホームページには、以下のことが書いてある。

<当社の「三菱マーク」は、三菱鉛筆株式会社の礎となった「眞崎鉛筆製造所」の創業者眞崎仁六が「逓信省(現:総務省)御用品」として採用された三種の「局用鉛筆」を記念して家紋の「三鱗(みつうろこ)」を図案化したものです。この三菱マークは「三菱」という商標とともに1903年に商標登録され、岩崎彌太郎氏が礎を築いた三菱グループの商標登録より10年先立ちます>
<岩崎彌太郎氏が礎を築いた三菱グループの商標のルーツについては、mitsubishi.comのページをご覧ください。なお、当社はこちらのグループ企業ではありません。>
(UNI MITSUBISHI PENCIL公式ホームページ)

 そして、三菱グループのページだ。こちらにも相手方へのリンクが貼ってあり、結果として「相互リンク」になっているが、三菱鉛筆は三菱グループではない。よく間違えられるのだろう。

<三菱鉛筆は三菱グループ企業ですか? いいえ、三菱鉛筆株式会社は三菱グループ企業ではありません。三菱鉛筆株式会社については同社のホームページ(https://www.mpuni.co.jp/)をご覧下さい>
(三菱グループ公式ホームページ)

 三菱鉛筆のえんぴつや消しゴムに「UNI」というロゴが描いてあるのはよく知られている。同社公式ホームページによれば<“uni”のロゴマークは、近年、ひとつの鉛筆の名称であるという枠を超えて、当社のあらゆる画期的な新製品のブランドとして表記><日本はもちろん、世界中で、“uni”の語源でもある“unique(ユニーク)“な企業として、いつも新鮮な発想を持った商品を開発し、人々のライフスタイルを彩り豊かにしてまいります>とある。

 そんなに大事なら、会社名もUNIにしてしまえばいいと思うが、やはり「三菱」という言葉に重みを感じているのかもしれない。