いかがでしょうか。これが、彼のアジェンダなのです。
つまりトランプ政権が再び成立すれば、アメリカ合衆国は合衆国ではなくなり、トランプの国となります。こんなことを米国民は本気で支持しているのでしょうか。民主党には真剣にトランプ打倒を考えてほしいと思います。バイデン大統領は7月21日に大統領選挙からの撤退をようやく宣言、後任にカマラ・ハリス副大統領を指名しました。
順当といえば順当です。しかし、これから民主党大会の大統領候補指名まで、まだ時間があります。何人かの候補者を擁立して討論会を重ね、民主党への関心を高めれば、もともと分断された国家なので、数%の浮動票で勝敗はわからなくなります。
民主党は負けてはいけない
ハリスではない最強の候補とは
私は、今度の大統領選挙は絶対に民主党が負けてはいけない選挙だと考えます。米国民にとっても、世界の人々にとっても。だからこそ、絶対に勝利が確実な候補を担ぎ出すべく全力を尽くすべきなのです。その人の名はミシェル・オバマ。オバマ元大統領の夫人です。
彼女なら、トランブに10%の差をつけられるという調査もあります。「バイデンでは勝てない」と撤退工作を主導したのは、オバマ大統領とその側近たち。黒人で、女性で、米国の原罪をすべて贖う候補として、彼女ほどふさわしい人物はいないと考えます。選挙はギリギリまでわからないもの。オバマ大統領だけでなく、国民的署名活動でミシェルを説得し、担ぎ出す。これが世界の願いではないでしょうか。
もちろん、ハリスが悪いというわけではありません。僅差での勝利では、トランプはまた選挙での不正を訴え、内戦を仕掛けかねません。だからこそ、圧倒的勝利が必要なのです。
米国民には「マタイによる福音書」に預言された 「丘の上の町」という信念があると言います。「あなたがたは、世の光である。山の上にある町は隠れることができない」――。これは、アメリカこそ世界を神の光で照らす灯台の役割を果たすべき理想国家だという意味です。この理想があるからこそ、米国は世界のリスペクトを受けていました。
トランプのように原罪に塗れた独裁者に、政権を絶対渡してはならない。私は心から米国民の奮闘を願います。
(元週刊文春・月刊文芸春秋編集長 木俣正剛)