「先輩の書類が自分の机のほうにはみ出してくる」=「自分は認めてもらっていない」という感情があることに、本人も驚いていました。そして、その感情があることを、認めるのに抵抗があったと打ち明けてくれました。
隣のデスクからモノがはみ出してくるのが
会社を辞めたいほどのストレスだった理由(2)
覆い隠されていた第一感情に気づいた彼女は、最初に感じていた怒りやストレスに冷静に向き合うことができるようになっていきました。「先輩はわざと私の机にはみ出そうとしているわけじゃないし、悪い人ではない。片付けるのが苦手なだけで、忙しくて余裕がないだけなのかも」と思えたのです。
「辞めるにしても、自分の気持ちを伝えてからでもいいのでは」と助言したところ、実際に先輩に話をしてくれました。
「実は、先輩の荷物がはみ出しているのを見ると、なんだか認めてもらえない感じがして、いつも悲しい気持ちになって、少しだけ押し返しているんです」と。
びっくりしたのは先輩です。
「そんなつもりは全然なくて、実は片づけられなくて困っていたんだよ」
先輩は先輩で、彼女が自分の顔を見て嫌そうにしているのを感じ、嫌われていると思っていたそうです。でも、自分ではなくて机を見て嫌な顔をされているのがわかってほっとしたのですね。
すると、彼女のほうから「私が片づけましょうか」と提案し、「えっ、いいの?」と先輩は大喜び。結局、彼女は2人分のきれいに片づいた机を自分の好きなように使えるようになり、営業のサポートもしやすくなりました。
先輩には感謝され、営業帰りには、おやつを差し入れてくれるように。会社が快適な環境に変わり、コミュニケーションもとりやすくなり、「今は全然辞める気はないです」と喜んでいます。
私はよく感情を袋にたとえて話すのですが、いろんな感情を抑圧していると、それがどんどん袋にたまって、パンパンになってしまいます。
突然彼女が「辞めたい」と言い出したのも感情をためていた袋がパンパンになったから。
そこで、感情を分解することにより、隠れていた本当の気持ち(第一感情)に気づいて認めることで第二感情が不必要になって、その分が小さくなり、感情の袋の容量も空くのです。