感情問題を
「勝ち負け」で考えない

 前項の例でわかるように、“怒り”などわかりやすく表れている感情の中に、実は「不安」「寂しい」「みじめ」「認めてもらいたい」「わかってもらいたい」など、本当の感情が隠れていることがあります。

 でも、人間は、なかなか本当の感情(第一感情)は認めたくないもの。なぜなら、素直に認めてしまうと自分の内側をさらけだすことにより、「負け」を認めているような気分になるからです。

 感情は「勝ち負け」ではないのはわかっているし、別に相手と戦っているわけじゃないのに、なぜか相手に負けた気分になり、くやしさや認めたくない気持ちを伴います。

 でも、認めてしまうと、とてもラクになります。第二感情が分解されて不要になり、占めていた容量が小さくなるからです。

 パートナーとの関係もそうです。たとえば隣の家のおじさんがやっても腹が立たないことでも、パートナーがやると腹が立つ。これって、パートナーに愛情があるからだったり、わかってもらいたかったりするからですよね。

 でもパートナーに「わかってほしかった」なんて、負け感があって、とても言えないわけです。この「好き」が第一感情、「腹が立つ」が第二感情というわけです。

 ちなみにこのように“怒り”の感情は、ほとんどの場合、分解できます。「なぜムカついているの?」と聞くと、多くの人がムカつく理由を並べたてますが、実はそれは第二感情を並べているに過ぎません。もっと心の奥深くを探っていくと、必ず怒っている本当の理由があります。

本当の感情(第一感情)に気づいて認めることができると、怒りなど(第二感情)が分解されて感情の袋はしぼんで小さくなり、脳の「容量」が空く本当の感情(第一感情)に気づいて認めることができると、怒りなど(第二感情)が分解されて感情の袋はしぼんで小さくなり、脳の「容量」が空く 本書より 拡大画像表示