スーパーの閉店前値引きとビッグモーター事件…人間の欲望が「需要と供給の法則」では測りきれないワケ筆者著作から引用

 上の図は、需要と供給の法則を図式化したものです。需要曲線と供給曲線の交点(均衡点E)で、縦軸の「価格」と横軸の「数量」(生産量・購買量)が決まることを意味します。

 まず、需要曲線から。縦軸の上方は価格が高いので、需要量は少ない。一方、価格が下がっていくと需要量が増え、右下がりになります。つまり、高価格だと「欲しいと思う気持ち」は小さく、量は少なくなる。価格が下がれば「欲しいと思う気持ち」が大きくなっていき、購買量も増えていきます。

 供給曲線はその反対で、価格が低いと「売りたい気持ち」は小さく、価格が上がっていけば「売りたい気持ち」は増えますから、右上がりになるわけです。

スーパーの閉店前値引きとビッグモーター事件…人間の欲望が「需要と供給の法則」では測りきれないワケPhoto:PIXTA

 そして、この需要・供給曲線の交点Eで「均衡価格」となり、均衡生産量(購買量)が決まります。これが需要と供給の法則のエッセンスです。

 冒頭のスーパーの話を振り返りましょう。需要と供給の法則の図でいうと、閉店に近いと需要曲線は左へシフトしていくことになります。すると、均衡価格も移動して価格は下落します。均衡価格の推移を店側が予測し、段階的に安くして需要曲線をつかまえようとするのは先述した通りです。

 アイスクリームの話では、アイスクリーム市場では需要量が増えると、需要曲線は右へシフトします。すると均衡点もシフトし、価格は上昇することになります。

 これが価格による「市場の調整」であり、市場メカニズムの本質であることも、先述した通り。人間の欲求や欲望を描いているといえるでしょう。繰り返しになりますが、市場メカニズムは非常に効率的で、「神の見えざる手」に導かれて最適な状態へ動きます。